リスクの認識 リスクとは何か
ビジネスに携わっていると頻繁に使う言葉に「リスク」がある。
ご承知の通り、普通は、「実現していない損失」の意味で使う。
多くの場合、「この方法はリスクが高い。」という場合に、本当に意図している
ことは、「この方法は、失敗して、損失が出る可能性が高いのでやめよう。」と
いうことだ。
このような考え方は、半分正しく、半分間違っている。このような考え方を判断
基準とすると、「野心的」とされるプロジェクトはすべて実行不可能となる。ひ
たすら現状維持しかできず、現状が右下がりであれば、座して死を待つことになる。
「リスク」とは、未だ実現していない、損失であるが、それゆえに評価すること
が難しい。
実現している損失は客観的に評価することができる。例えば、火災で建物が焼失
したとする。その損害は、同じような建物を建てる場合に必要な金額で評価でき
るかもしれない。建設会社から見積を取ればよいのだ。例えば1億円としよう。
では、この建物が焼失するリスクはどう考えるべきであろうか?基本は次のよう
になる。
リスク = 焼失の可能性 × 1億円
この式は、ようは、このリスクをカバーするには、いくらまでコストをかけても
引き合うかを示している。
もし、1年に1度焼失する可能性がある(こんなに高いはずもないが)とすると、
確実に防止できるのであれば、1年に1億円まで、コストをかけても良いことに
なる。実際は焼失する可能性ずっと低いので、はるかに低いコストしかかけられ
ないが。
これって、実は「保険」の原理の一つだと気がついただろうか?
保険会社のビジネスはリスクを引き受けることだ。保険の購入者は、コストを
保険会社に支払う代わりに、リスクが現実のものとなったときに、それをカバー
する(例えば建物を建て直せる)金銭を受け取る権利を得る。
このように、コストを払ってリスクをカバーすることを「リスクをヘッジする」
という。重要なことは、リスクのヘッジには、通常、見合ったコストがかかる。
ビジネスの現場のリスクは、複合していて複雑で、必ずしもフルヘッジできると
は限らない。そこで、リスクが発生確率と予想損失に分解できることを利用して、
このどちらかを下げる努力を行い、リスクを軽減する。
新しいことをしようとすると、何らかのリスクが発生する。それをあの手この手
で軽減し、大きな成果を確実に得ることが大事だ。
つまり、リスクとは回避するものというよりは、積極的に、コントロールすべ
きものと考えよう。


