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ファクトベース 常識を疑おう

「量販店向けの商売は割に合わない。値引き要求はきついし、リベートも要求さ

れる。利幅が取れ、ロイヤリティが高い個人商店を大事にすべきだ。」

これは、とある食品メーカの販社のルートセールスが「業界の常識」として語っ

た言葉だ。

この言葉を聴いたコンサルタントは、この常識に疑問を持った。


「確かに利幅は量販店向けのほうが少ない。でも、圧倒的に販売量が多い。一方

個人商店は、相手先当りの販売量は少ない。配送や受発注も相手先毎に行うので

手間がかかっている。量販店向けはそんなに骨折り損なのだろうか。」


実際に、ABMという手法を使い、物流コストや、営業のコストを細かく顧客別に

細かくチャージして分析を行ったところ、驚くようなことがわかった。


利幅(粗利益)は、あきらかに、量販店向けのほうが低い。しかし、営業のコス

トは、規模に関係なく顧客それぞれでそれほど変わらなかった。


物流コストにいたっては、とんでもない差が出た。週に1回1ケースを、自社トラ

ックでルートセールスが配送する個人商店と、数千ケースを運送業者にたのんで

流通センタに持ち込めば、あとは自分で店頭に配送する量販店では、売上に占め

る物流コストの割合は、圧倒的に後者が少ない。


結局、これらのコストの差は利幅の差を楽々カバーし、量販店の方が、最終的な

利益率は、個人商店よりも高かったのだ。


実は、このような話は、コンサルタントが入ると、多かれ少なかれ見つかる。

コンサルタントは、客観的な裏づけがない情報にたいしては、疑ってかかるため

だ。必ず、客観的に測定可能な数字で説明されているかを確認する。


上の例は、具体的な方法論に基づいて分析した例だが、重要なのは、このような

方法論そのものではない。


あらかじめ、「この話は本当だろうか?」という、疑問があるわけだ。そして、

それは数字で客観的に説明されたものではないことが確認される。ここが重要な

のだ。


コンサルタントのような部外者であっても、上記のような「常識」を自信たっぷ

りに話されると、つい、「そうだ」と思ってしまう。だから、意識的に「確認」

している。まして、内部の人にとって、日常になっている、このような常識を

疑うことは難しい。


だから、問題を解決するためには、意識を高く持って、「常識」を疑う必要が

ある。


いかなる方法論も、それなくしては、役に立たない。

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